定例研究会報告  森 章司

2009.06.12

 5月の定例研究会は第4水曜日に研究所の催事があったのでスキップし、6月10日 (水)に6月度の定例研究会として行いました。
 主な討議課題は、「モノグラフ」第15号として発行する予定の、金子芳夫研究分担者が担当している「原始仏教聖典の仏在処・説処一覧」の「その他国篇」 に収載すべき地名のうち、具体的に言えば、当該の地名を独立した「国」として処理すべきなのか、それともどこかの国に属する「都市」あるいは「村」として 処理すべきなのか、あるいはもし独立した「国」であるとするなら、どのあたりに所在した、どれくらいの規模の国であったのか、またどこかの国に属するとす るなら、その国はどの国であったのか、などが判然としないものについての検討でした。これは数年来の課題であって、地名ごとに担当者を決めて研究を進めて いたのですが、いよいよ発行できる準備が整ってきたので、その最終結論を得るために行ったものです。
 この検討結果は、担当者の名を記した補注として「その他国篇」に掲載します。またこの検討結果に基づいて、この巻末には国名とその大体の範囲、および主 要都市を記入した「仏在処・説処地図」を掲載することになりました。
 なお7月の定例研究会は7月末に行う予定ですが、この主な討議課題を「時系列にしたがって配列した原始仏教聖典目録」に関する事項としました。われわれは原始仏教聖典に基づいて「釈尊の生涯」と「釈尊教団の形成史」を再現したいという目的を持って研究してきたわけですが、その前段階としてパ・漢にわたるすべての経蔵・律蔵資料を時系列にしたがって配列した「目録」を作成することにしており、いよいよその段階に達したということです。具体的にはその「目録」をどのような形態にし、それをどのような方法と手続きによって作成するかということを検討することになります。