合宿研究会を行いました 森 章司

2012.09.01

 8月定例研究会として、8月22日(水)、23日(木)、24日(金)、2泊3日の日程で合宿研究会を行いました。立正佼成会の団参会館に泊まらせていただき、研究会の場所はいつもの研究所会議室でした。出席者は金子芳夫、岩井昌悟、本澤綱夫、石井照彦それに森章司でした。

 主なテーマは、"Buddhist Monastic Life--according to the texts of the Theravāda tradition"からの日本語訳がほぼでき上がったので、編集方針の最終打ち合わせと細部の検討でした。まとまった編集方針は以下のとおりです。

(1)内容はわれわれの研究の方が進んでいる面もあり、またかなりの事実誤認も含まれているが、原始仏教聖典観や原始仏教の出家者像・サンガ観などはわれわれと基本的に一致しており、また日本での類書がなく、概説書として要領よくまとめられているので、翻訳して紹介する価値あるものと認め、翻訳権をとって「モノグラフ」の1冊として刊行する。

(2)翻訳者は本澤綱夫・岩井昌悟とする。

(3)ただし事実誤認のあるところは訂正し、日本の読者を勘案すると漢訳の情報を盛り込んだ方もよいと思われるので、訳注としてこれらを盛り込む。

(4)以上の編集方針を伝えて、原著者(Mohan Wijayaratna氏)ならびに英訳者(Claude Grangier氏とSteven Collins氏)とそれぞれの出版社に翻訳の許可を取得する作業に着手する。

 翻訳権の取得ができれば、刊行までにはそれほどの時日は必要としないでしょう。ご期待下さい。

 なお若干の時間の余裕があったので、森章司から進行中の「研究ノート」の第7節「詩人ヴァンギーサの生涯」を紹介して意見をいただきました。
 内容の項目を上げると、「ヴァンギーサの出自」「ヴァンギーサの出家年」「和尚ニグローダカッパ」「出家直後のヴァンギーサ」「ニグローダカッパの入滅年」「『ブッダを上首とするサンガ』の一員としてのヴァンギーサ」「『ブッダを上首とするサンガ』の一員時代の詩」「阿羅漢果を得た年」「阿羅漢果を得た後の詩」「ヴァンギーサの入滅年」です。
 もちろん正確な年代はわかるはずはなく、すべては状況証拠からの推測ですが、1人の仏弟子の生涯がこれほどトレースできるのは、たくさん残された彼の詩の賜物です。