6月定例研究会報告 森 章司

2010.06.18

16日(水)に6月定例研究会を行いました。「釈尊年齢にしたがって配列した原始仏教聖典目録」の編集に向けて着々と準備が進んでいます。



 「聖典目録」の土台は私たちが蓄積している「釈尊伝データ」ですが、このデータの最終整備を6月中に終え、7月からは「聖典目録」を編集するための新しいフォーマットに必要事項を取り込む作業に入ることになりました。ちなみにこのデータにはパ・漢の原始仏教聖典はもちろん、仏伝経典やアッタカターなどの注釈書文献、東南アジアや中国で撰述されたお釈迦さまの伝記資料などすべてが含まれています。
 「聖典目録」はまず原始仏教聖典の1つ1つを、それがお釈迦さまの生涯のどの時点で説かれたものであるかを調査して目録として作成するととともに、その記事内容が原始仏教聖典のどれに相応するかという視点で注釈書文献や後期伝記資料を示すという形のものになります。なおこれには記事の内容も併記しますから、これを順にまとめれば、お釈迦さまの伝記が自然にでき上がるということになります。
 もちろん原始仏教聖典のなかには、それがいつの時点で説かれたものと特定できないものもたくさんあり、これらはある時点以前のものであるとか、ある時点以後のものであるとか、あるいはある時点からある時点に至る間のものであるなどと大ざっぱに示さざるを得ないものもありますし、それがどこで説かれたが示されないもの(仏在処や仏説処がないもの)や、われわれがその来歴を知りうる人物が登場しないものもあって、これでは説かれた時点の判断のしようがありませんから、時点不明の経として残されることになります。
 もちろんこの前提として、お釈迦さまの事績を細大漏らさずきちんと年表のような形にまとめることが必要です。そのために7月末に合宿をして、釈尊のさまざまな事績がいつのことであるかを徹底的に検討することにしました。
 なお今までにも報告していることですが、これはわれわれが今までに立ててきたさまざまな仮説を検証するための手段という意味も有するものでありますから、今の段階ではでき上がった「聖典目録」を公にすることは考えておりませんのでご了承ください。