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阿難(アーナンダ)、釈尊滅後の経、コーサンビー


 原始仏教経典には「阿難が登場して」「釈尊が登場しない」経がパ・漢併せて86存する。本稿はこれらの「説時」を仏在処や他の登場人物、経の内容などから推定したものである。「説時」というのは、経の冒頭の「如是我聞。一時仏在○○与大比丘衆......」の「一時」が具体的には釈尊の生涯中のいつの時点であるかということである。  結論としては、「阿難が登場して」「釈尊が登場しない」経は、ほとんどが仏説ではなく阿難説の経であり、舎利弗や凡夫としてのヴァンギーサが登場する経を除けば釈尊滅後の経であるということになった。そしてこのような経の舞台はコーサンビーが飛び抜けて多く、ここからすると釈尊滅後の阿難の主な活動地はコーサンビーであったと推測される。