キーワード:

サンユッタ・ニカーヤ、雑阿含経、別訳雑阿含経、有偈篇、天相応、天子相応、森相応、devatA、devaputta、天、天子、天神、パンテオン、説時年代


 本稿は原始仏教聖典に含まれる1つ1つの経の説示年代(説時)を推定する【研究ノート】の一環として企図されたものである。そこでサンユッタ・ニカーヤ=雑阿含経=別訳雑阿含経として最初に取りかかったのが有偈篇「第1・天相応(Devatā-saṃyutta)」であったが、ここに含まれる経には「神」が登場してこの神が釈尊と偈による対話(問答)をするという単純な構造をもつものがほとんどであり(数個の例外はある)、ここには説時を推定する材料がほとんど含まれていない。そこでいつの間にかテーマは経の説時から離れて「神」そのものとなり、範囲も「第2・天子相応(Devaputta-saṃyutta)」「第9・森相応(Vana-saṃyutta)」に登場する神に広がることになった。最後にサンユッタニカーヤと『雑阿含経』『別訳雑阿含経』の形成についてもふれた。